ブランド

 ぼくはブランドものに対する感覚がずれているらしい。来ている物はすべて安い物か丈夫なものを選ぶことにしている。しかし、丈夫なものほど値段は上がる。それをどこまで追求するかはひとそれぞれの好みの問題である。極寒のヒマラヤ山脈を登攀するならば一流ブランドの山岳用品でなくては命が危ない。バーゲンセールで買ったスニーカーでは確実に下山できないであろう。そしてザイルは仲間の運命を左右する大切な道具である。「こいつの命におれは責任もてない」と思う人間はホームセンターで買ってきたしろいロープでかまわないかもしれないが、「こいつは死なせたくない」と思うなら一流のザイルを選ぶはずである。人間の生命が関わるとブランドへのこだわりがうかがわせられるようである。